中国を語る |
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河坊街と龍井茶:呉越紀行その十三 |
午後三時頃、銭塘江を渡り杭州市街に入る。車渋滞して道路混雑甚だし。一時間ほどして河坊街に至る。 河坊街とは南宋時代における都の繁華街を再建して観光客向けにさまざまな店を並べたる通りにて、呉山公園なるバス停留所の東側数百メートルにわたりて伸びたゐたり。 バスを降るに目の前にダウン症の男児の大きな缶を抱へて銭を乞ふあり。日本にてはかかる光景は見られざるなり。男児はすこぶる愛嬌良し、そのためか缶の中には紙幣なども覗き見えたり。 K氏とともに街を歩く。通り沿ひには白壁やら木造のシックな建物軒を連ね、店舗は漢方薬、骨董品、衣装、刃物、金物、土産品などを商ふほか、茶館、餐庁などもあり。余は土産品を覗きては杭州名産なる月餅を探せしが見当たらず。どうやら月餅には季節あるものの如く今は売る店あらずといふことらし。 様々な菓子を買ひもとめ、通り沿ひの床几に腰かけて食ふ者あり。中国人は散歩のついでに街中にて物を食ふを好むとみえたり。店員などは、立ちたるまま食器を持ち、箸をうごかして飯を腹にかきいるるなり。 漢方薬を商ふ店には精力剤専門のものあり。看板に回春堂などと掲げたるものがそれなり。店内を見るに、結構若きものまで精力剤を求めてあり。 その後お茶の博物館に立ち寄る。杭州は中国有数のお茶の産地にて、とりわけ龍井茶は最高級の茶なる由。通常の烏龍茶に比すれば、値段十倍すといふ。その龍井茶の茶畑なるところに案内せらる。 市内の百合花飯店にて晩餐をなす。鶏の骨付き、アヒルと玉ねぎ、豚とピーマン、麻婆豆腐のほか、セロリ、スープ、チャーハンなどを供せられ、また当地名物東坡肉を供せらる。かの蘇軾が考案したるものにて、豚肉の脂身に富みたるところを角切りにして煮込みたるものなり。 |
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作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2011 このサイトは、作者のブログ「壺齋閑話」の一部を編集したものである |