中国を語る
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中国の南シナ海進出




写真(ロイター/ AFP)は南シナ海の南沙諸島にあるファイアリー・クロス礁の埋立状況を示すもの。左が昨年8月、右が最近の状況である。埋立が完成すると、南沙諸島最大の面積を持つ島となり、そこに長さ三キロの滑走路の建設が予定されているという。

中国による南シナ海支配を一方的に既成事実化するものだとして、周辺の関係国はもとより、アメリカも重大な関心を寄せている。そんななかで、南沙諸島をめぐる軍事的な衝突も絵空話ではなくなってきつつある。中国の強引なやり方に反発したベトナムやフィリピンが、アメリカを巻き込んで中国を牽制したいと考え、アジアへのリバランスを宣言したアメリカも、それに一定の理解を示さねばならないと考えているらしいからだ。

もし、南沙諸島を巡ってアメリカが軍事行動に踏み切る決断をするとすれば、当然日本も他人ごとではすまなくなる。安倍首相は先日、オバマ大統領とアメリカ議会を前に、日米の共同軍事行動を約束したばかりだ。その最初の適用が、南シナ海を舞台にしたものになる可能性は否定できない。

しかし、今の日本の軍事能力からして、南シナ海に軍隊を派遣して、中国と一戦を交えるには、余りにも準備不足だと、当の自衛隊の幹部も考えているようだ。もし、それを行うには、戦術上の拠点を南シナ海に確立しなければならない。戦闘・兵站の両面からそれは不可欠だ。

考えられるのは、とりあえずはアメリカの同盟国フィリピンと同盟を結んで、フィリピンを軍事上・兵站上の拠点にすることだ。そうすれば、安倍首相の主張である集団的自衛権行使のモデル・ケースにもなるだろう。日本は晴れて「積極的平和主義」の優等生にもなれるというものだ。

こんなたわごとが現実味を帯びるほど、東アジアの安全保障環境が悪化してきたということか。

(参考)Making waves China tries to strengthen its hand in a dangerous dispute Economist




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