中国を語る |
HOME|ブログ本館|東京を描く|漢詩と中国文化|陶淵明|日本文化|ロシア情勢||プロフィール|BBS |
香港の夜景:嶺南紀行その七 |
夕刻ピーターパン迎へに来る。これより食事をなし、香港の夜景を楽しまんといふなり。 九龍半島繁華街の南海中心なるところに北京ダックの店全聚徳あり。北京の全聚徳の支店なるべし。ここにて北京料理を楽しむ。メニューは玉蜀黍湯、冷菜、青梗菜の炒めもの、北京鴨、蛋料理、カシューナッツと鶏の炒めもの、白身魚と玉ねぎの炒めもの、炒飯、焼うどんなり。香港ビールを飲みつつ味はひたり。 北京鴨、苞を入れたる甑、薬味数種それぞれ別々に運ばれ来れり。例の痴呆老人そのたびに箸を出して食はんとす。ある夫人それをみとがめて、あなたさうではありませんよ、と注意す。注意されたる本人にはわけのわかるはずなければ、同行の友達かはって云訳す。 食後星光大道なる海辺の遊歩道に至り香港島の夜景を見物す。松下、ソニー、日立など日本企業のネオンサインひときわ鮮やかに点滅してあり。また、各ビルの屋上よりフラッシュライト放射せられ、夜空を彩りたり。 その後、ピーターパンより女のガイドに引き渡され、オープンデッキバスに乗せらる。中国語にては露天甲板巴士といふなり。バスは弥敦道(ネーザン・ロード)を北上し、香港市街の夜景の間を潜り抜けて進みたり。 旺角なるところにて下車し、女人街なるところを散策す。屋台の露店の集合したるものなり。いつか台北で見たる屋台街と同じやうなる趣旨のものなれど、規模はるかに大なり。また台北の屋台街とは異なりて、飲食を供する屋台を見かけず。そのかはり、道路の両側には飲食店櫛比したり。 同行の美女さる店の前に立ち、ルイ・ヴィトン風の財布を手に取りて値切りにかかりたり。余冷やかしていはく、官憲に見つかると罰金を取られますよと。美女舌を出して反発していはく。これは偽物のやうで偽物にあらず、ルイ・ヴィトンのマークを見よ、Vの文字のところにWの文字刻されてあり。さればこれはルイ・ヴィトンにあらず、ルイ・ウィトンともいふべし。いずれにせよ偽物にはあらずと。 各屋台の奥を覗けば店員のほとんどは女なり。さればこそ女人街とはいふべけれ、と納得す。余は土産物に相応しきものを物色せしがそれらしきものを見ず。結局なにも買はずして止む。 見物後また別のバスに乗せられてホテルに向かふ。バスには他のツアー客も同乗す。かうすれば観光資源を能率的に使えます、とガイド涼しげな顔なり。 途中青果市場の如き所を過る。段ボール箱市場の建物をはみ出し路上まで溢れてあり。官憲も夜中に限って路上を商売に使うふことを許すなりといふ。 ホテルに戻りて後、シャワーを浴び、バーボン・ウィスキーの残りを舐めつつ歓談す。テレビを見れば、尖閣問題あひかはらず大きな取扱なり。 |
HOME|次へ |
作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2011 このサイトは、作者のブログ「壺齋閑話」の一部を編集したものである |