中国を語る
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中国の新指導部は腐敗を根絶できるか


もうすぐ選出される中国の新しい指導者たちにとって、当面の課題の中でもっとも大きなものは、腐敗の根絶だろう。なにしろ、役人による賄賂や職権乱用などの腐敗は、今や一般国民にとっても指弾の的になりつつあり、これを解決できないでは、新指導部の権威が保てないのは明らかだと思われる。

そのことを意識してか、これまでも腐敗根絶の取り組みはなされてきた。薄熙来に対する追及などは、その象徴として使われたフシがある。しかし、先日は温家宝首相の家族による膨大な蓄財がNew York Times によって報道されるなど、政権中枢にまで広がるスキャンダルに、振り回されているのが現状だ。

政権中枢のスキャンダル疑惑と言えば、今年の6月には Bloomberg が、習近平の親族による蓄財スキャンダルを伝えた。当該の記事の中では、習近平自身や妻などの不正はないとされていたが、それでも政権中枢はこの記事に神経質に反応し、Bloombergのサイト全体を閲覧禁止状態にしてしまった。

温家宝の後継者と目されている李克強についても、ブルッキングズ研究所の調査員が疑惑を取り上げている。それによれば、李克強の弟李克明が煙草産業界に巨大な利権を築いたということだが、李克強自身はたばこ業界を管轄する官庁のトップをつとめてきた。そこに何らかの不正の匂いがするというわけである。

というわけで、本人のかかわりを別にして、有力者の周りにいる者が、有力者の力を背景にして利権をむさぼっているとの印象が独り歩きすると、有力者に向けられる庶民の目は厳しいものになり、そのことがひいては、政権の基盤を損なうことにもなる。

ともあれ、中国はいまや世界に向かって大きく開かれつつある。そんな中で、権力の運営ばかりが旧態依然でありつづけられるわけがない。習近平政権は、否応なく改革を迫られるだろうし、その改革の中でも、腐敗の根絶は待ったなしの課題になるだろう。(写真はEconomist から)

(参考)China's ruling families Torrent of scandal :Economist





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