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土地収用をめぐり暴動:広東省烏坎(Wukan)で爆発


広東省東部陸豊の小さな漁村烏坎(Wukan)で地元住民が地方当局と激しく対立し、暴動に発展しているようだ。当局の厳しい検閲で詳細はなかなかわからないが、香港を中心に広がるミニブログの動きや外国人ジャーナリストの取材などを通じて少しづつわかってきた。

暴動のきっかけを作ったのは、地方当局による無茶な土地収用だ。土地を二束三文で取られようとした住民がこれに抵抗、地方当局との間でにらみ合いが続いていたが、9月になってそのにらみ合いがちょっとした暴動に発展した。その直後暴動を組織したという名目で指導者数名が逮捕されたが、そのうちの一人が最近死亡したとの発表が地方当局からあった。

死亡したのは薛錦波(Xuejinbo)という人。地方当局の発表では、病気で死んだということになっていたが、娘が遺体をチェックしたところ、体のいたるところに暴行の痕跡があった。肋骨が数本折られ、指も折られていたほか、両膝は内出血で黒く染まっていた。また顔面には殴打されたと思しき跡があった。撲殺されたことは隠しようがない。このことが住民の怒りに火をつけ暴動となったものだ。

住民たちは警察官らを町から追い出してバリケードを築いた。地方当局の方も逆に街をブロックインして住民の出入りを制限するなど、対立はますます先鋭化しているようだ。

広東省では土地収用をめぐる住民と当局とのトラブルが絶えない。2005年には烏?の隣村東州(Dongzhou)で同じような事情から暴動が起こり、住民6人が死亡する事態へと発展した。今回のケースもいまのところ収束する見込みが立っておらず、どこまで悲惨な事態になるかは予断を許さない。

住民が怒るのは、地方政府の役人たちが二束三文で自分たちの土地を取り上げ、それをデベロッパーに高く売りつけた挙句、その差額のかなりの部分を自分の懐に入れるのが許せないからだ。

中国では役人が賄賂をとったり、リベートをネコババするのは当たり前のことになっている。こうした構図がある限り、このような騒ぎはなくならないだろう。ひいては共産党の権力基盤を切り崩すことにもつながるはずだ。

中国共産党は頭を冷やしてよく考えたほうが良い。(写真はAFPから)





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作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2011
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