中国を語る
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名無し空母のミッションは何か?


先日処女航海した中国の空母は、鳴り物入りでデビューしたにしては、分からぬことが多い。第一いまだに名前もついていない。またどこに配属されるかも分からない。それ以上に、空母がきちんと任務を果たすには、艦上機のほかに、それなりの船団組織が必要だが、その空母にはそれらが用意されていない。これではまともな役割が果たせない。こんなわけで世界中が中国海軍の意図を測りかねているというのが実情だ。

名前はすでに付けられているといううわさもある。「施琅(Shi Lang)」といって、17世紀に台湾を征服した英雄の名前だ。だがこれでは台湾側を刺激しすぎるとして、どうも遠慮または撤回する動きがあるらしい。それで名前が宙に浮いている理由が納得される。

中国が空母を持つ動機のひとつとして、台湾への攻撃能力の強化というのがあった。しかし現在では戦闘機の性能が向上して、空母を持たなくても中国沿岸部から十分に攻撃できるようになった。そこでこの空母の主要任務は、台湾攻撃から南シナ海防衛へと変更されつつあるらしい。

いづれにしても、この空母の能力はそんなに高くはない。姉妹艦も含めて現実の戦闘を想定して設計されていないとも言われる。中国がこれをウクライナから買った時には、船体は錆びてエンジンもついておらず、鉄屑同様の状態だったという。せいぜい海上カジノとして利用するのが関の山といわれたほどだ。

それを中国側は、威信をかけて改造したわけだが、どうもその能力にはあまり期待していないフシもある。

中国は今、本格的な空母を2隻建造中だが、この船はそれが完成するまでの時間稼ぎくらいにしか用いられない可能性もある。(写真はロイターから)





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