中国を語る
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中国に茉莉花革命は可能か


アラブ世界に吹き荒れているジャスミン革命の嵐が、もしかしたら中国にも吹いてくるかもしれない、そんなことを予想させるような事態がおこりかけた。おこりかけたというのは、共産党政権の徹底した事前弾圧で、とりあえずは民衆の蜂起が食い止められたからだ。

中国の民権活動家たちも、インターネットの威力を最大限活用して、反体制運動を盛り上げようと図った。その第一弾として、2月20日に北京や上海などいくつかの都市でデモを催そうと、SNSを通じて呼びかけた。彼らは中国語でジャスミンをさす茉莉花という言葉を使って、中国に茉莉花革命を起こそうと呼びかけたのだった。

この情報をキャッチした共産党当局は、あらゆる努力を払ってデモを阻止するよう、胡錦濤自ら先頭になって指示した。彼らにはあの天安門の悪夢を二度と見たくないという気持が強迫観念のように働いたのだろう。

この結果インターネット網は遮断され、多くの民権活動家が逮捕されたり自宅軟禁されたりしたほか、当日は拠点として指定された場所に、警察官を導入して、不穏な動きに備えた。こうした徹底的な弾圧によって、とりあえずは、中国に組織だったデモが起こることはなかった。

だがいつまでも現状が続くかどうか、それは現体制にたいする民衆の満足度如何にかかっている。

中国はいまや世界第二の経済大国になったとはいえ、一人当たりの国民所得は日本の10分の一程度だ、一方経済発展の影で階層間、地域間の格差がものすごく大きくなった。こうした事態が醸し出す不公正の感覚が、民主化への希望と結びついたとき、人民はいつまでも満足しているわけにはいかないと感ずるようになるだろう。(上の写真は上海市街を警備する公安警察:AP提供)





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