中国を語る
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釣魚島は中国のもの、蒼井そらは世界のもの:ポルノと愛国心


尖閣諸島問題で燃え上がった中国人の反日デモ、そこには反日のスローガンを書いたプラカードが多数登場したが、その中でひときわ目を引くものがあるというので、中国のネット世論の話題になっているそうだ。「釣魚島(尖閣)は中国のもの、蒼井そらは世界のもの(釣魚島是中国的、蒼井空是世界的)」と書いてあるのがそれだ。

こんなスローガンがどうして広がったのか。よくはわからないが、中国人の間で蒼井そらが絶大な人気を誇っていることと関係があるらしい。蒼井そらは、日本人の間ではほとんど注目されていないが、何故か中国人には人気があり、彼女の開設した中国人向けミニブログ(微博)には、1300万人のフォロアーがいるという。

こうした人々にとっては、蒼井そらが日本人であることが気にいらないのだろう。なにしろ日本人は今や中国人の宿敵であり、一人残らず殲滅したい連中だ。しかし蒼井そらは殲滅するわけにはいかない。なにしろ彼女は中国人たちのハートを強く刺激している女神のような存在なのだ。そこで、一計を弄する者が現れた。蒼井そらは、憎い日本人のものなんかではなくて、世界全体のものなんだというわけだ。そうすれば、殲滅の対象から彼女だけ外すことができるではないか。

蒼井そらは、いわゆるポルノ女優である。ポルノ女優が民衆のアイドルになった例は日本ではほとんどないといってよい。少なくとも、公然と語られる存在にはなれない。ところが中国では、蒼井そらのファンであることが公然と語られるばかりか、蒼井そらこそが最も身近な日本人として意識されている。先日朝日新聞が実施した世論調査では、中国人が最初に思い浮かべる日本人として、蒼井そらが堂々の4位となったほどだ。ちなみに1位は小泉新一郎、野田総理は5位だった。二人とも日本のマイナスイメージのシンボルとして受け取られているのに対して、蒼井そらはプラスイメージで受け取られているのだ。要するに、中国人にとってもし愛すべき日本人があるとしたら、その筆頭が蒼井そらだというのだから、筆者などは度肝を抜かれた次第だ。

先ほどのスローガンのうち前半の「釣魚島是中国的」は、中国人たちの愛国心の発露だろう。これに対して後段の「蒼井空是世界的」は、中国人たちのポルノ愛好心が屈折した形で現れたのだと思われる。(写真はEconomist から)





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