中国を語る
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犬を食うのは残酷な行為か?中国で大論争


先日、北京郊外で五百数十匹の犬を輸送していたトラックが動物愛護団体によってゆく手を阻まれたうえ、運転手が100名あまりの活動家たちによってとりかこまれ、大騒ぎになったことがあった。(写真はAPから)

警察官も駆けつけて、両者それぞれの言い分を聞いたところ、動物愛護団体は、犬を食う目的で輸送しているのは、見過ごせないといった。一方運転手のほうは、食用の犬を輸送するのは違法ではないのだから、動物愛護団体の行為は営業妨害以外の何物でもないと、食ってかかった。

結局このケースでは、動物愛護団体が金を払って犬を引き取り、一件落着となった。

当の犬たちは食われる運命であったところを、間一髪で助かったわけだが、この事件がきっかけで、中国では犬を食う風習をめぐって大論争がおきたそうだ。

大多数の意見は、犬を食うという風習は、中国とその周辺の国にしか見られず、国際的に残酷で野蛮だと思われているのだから、やめるべきだというものだった。第一、犬は人間の古くからの友人なのだから、食うのは忍びないという意見もあった。

それに対して、犬を食うことは中国古来の風習であって、どこにも恥ずかしい点はないとする意見もある。豚や鶏は食えるのに、犬は食えないというのは偽善者の理屈であり、誰にも犬の肉を食うことを責め立てる資格はないというわけだ。

中国人が昔から犬を食ってきたのには、特別の事情がある。犬の肉は豚や鶏に比較してヘルシーであり、なおかつ体を温めるなどの薬事的な効果も期待できる。こんなことから、犬肉の料理は一種の薬膳料理として人気があった。

しかし中国も、近代化の進行につれて、食生活が豊かになったためか、犬肉を食う人は少なくなったといわれる。今でもさかんに犬肉を食っているのは、満州の北朝鮮に接した地域や、広州や貴州など、周辺の地域だ。今回問題となった犬たちも、長春の犬肉市場に運ばれる途中だった。

写真からわかるように、犬はいろいろな種類からなっている。かつては食用になるのは赤犬といわれたものだが、それ以外の犬も、中国人は食うようだ。





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