中国を語る
HOMEブログ本館東京を描く漢詩と中国文化陶淵明日本文化ロシア情勢|プロフィールBSS


山塘街夜景:呉越紀行その四


晩餐後山塘街の夜景を見物せんと胥門より船に乗りて山塘運河を行く。山塘運河は蘇州城と虎丘を結ぶ水路にて白居易が蘇州知事の時に開削せしめたるものなり。全長四キロ、そのうち旧市街沿には古民家再現せられて水の都蘇州と呼ばれし往時の繁栄を忍ばしむるなり。

余は前回蘇州をおとずれし折、寒山寺より虎丘まで運河を舟行せしことあり。いま地図にてその航跡をたどるに、寒山寺より楓橋路を東し、山塘街の入口より虎丘に向けて北進したるものの如し。

今回は胥門を発して北進し、山塘街入り口にて下船し、山塘街を散策するなり。されば前回は船の上より見たる昼間の山塘街を、今回は陸行して夜景を楽しむなり。



夜景のうち最善のものは万年橋付近の眺めなるべし。万年橋は大きな太鼓橋にて、夜景は無論昼見ても勇壮なりと覚ゆるなり。



山塘街入り口にて下船するに一の楼閣あり、その前の広場に夫人集合し踊りのやうな運動をなしてあり。中国にては国中いづこにても見らるる光景なりといふ。



運河にはおびただしき数の舟行きかひてあり。この船より見る山塘街の夜景は一段と趣向に富めりといふべし。



その夜景を楽しまんとて大勢の中国人船乗り場に集合して順番を待ちゐたり。我ら如き外国人のみならず、中国人にとっても蘇州は人気ある観光地の由なり。



山塘街の家並みは運河に密着して立ち並ぶほどに、道路から運河を見ることはほとんどなし。ただ運河にかかる橋からは運河を見下ろすことをうる。上の写真はその眺めなり。

一の美術商に入りて、中国人画家の画集を手に取りてみる。水墨画風に蘇州の景色を描きたるものあり、頗る参考になると覚えしかば一冊購入す。値九十八元なり。

集合地点たる街のはずれに至りしところ、時間を過ぎても来らざるものあり。そのうち康康心配して捜索に赴き、ややして伴ひ来れり。迷子になりしは昼餉の席上あひると鴨の相違を弁別せずといひたる翁なり。ウサギの縫ぐるみを物色しをるうちに、時間を失念せしなりといふ。

午後九時過ぎ投宿先のニュー・シティ・ガーデン・ホテル(新城花園酒店)に至る。部屋はゆったりとして気持ち良し。長期滞在にも適したりといふべし。





前へHOME中国旅行次へ









作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2011
このサイトは、作者のブログ「壺齋閑話」の一部を編集したものである