中国を語る
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南シナ海問題で米中会談

緊張が続く南シナ海問題をめぐって米中会談が開かれた。6月26日、ハワイでアメリカのキャンベル国務次官補と中国の崔天凱外務次官との間で会談がなされたものだが、双方の主張は平行線に終わったらしい。

中国は最近になって南シナ海での軍事的なプレゼンスを強めており、ヴェトナムの間では、西沙諸島をめぐって、フィリピンとの間では南沙諸島をめぐって、軍事力を行使してその領有権を主張している。

中国の領有権主張の理屈は国際法上の常識とは大きく異なっている。南シナ海全体を中国のものだとした上で、この海域に対する中国の絶対的な主権を主張するものだ。

こうした中国側の態度をアメリカが脅威に感じるのは、中国側の思惑通り事態が進展すれば、南シナ海における航行の自由が脅かされかねないという懸念があるからだ。その懸念は日本を始め東南アジア諸国も共有している。

また、ヴェトナムやフィリピンは中国による一連の行動を、軍事侵略だとして公然と非難している。

いまのところアメリカは、ASEANなどの場を活用して、関係国間の多角的な交渉の場で解決を図るべきだとしているが、中国のほうは、領土問題は二国間の問題だからアメリカが口出しする余地はないと反発している。

ともあれ現状を放置しておけば、ヴェトナムやフィリピンなどが中国の軍事力の前に屈する恐れがある。中国は軍事力で周辺国を屈服させた上で、それぞれの島への実効支配を強め、事実上南シナ海を制覇する考えだ。

これに対してアメリカは、ヴェトナムやフィリピンに武器援助を行い、彼らの軍事力を強化することを約束した。

こうした互いの動きが、大規模な武力衝突に発展することがないように、見守っていく必要があろう。





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