中国を語る
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恥を知らない中国人たち


先日の尖閣諸島の事件をめぐって、中国では、日本が中国に恥をかかせたと決め付ける論調がまかり通っているようだが、中国人、少なくとも共産党政府の要人らやまともな思考ができないネット・ユーザーたちは、そもそも恥なるものを知らないのではないか、そんな風に思わせる。

というのも今度は、韓国の排他的経済水域で違法な操業をしていた中国漁船が沈没した事件をめぐって、中国政府は韓国側を非難したあげく、逮捕された中国人の即時釈放や、損害賠償を求めるという、国際常識からは考えられないような、恥知らずな主張をしているからだ。

尖閣諸島事件に際して日本側にいったことと全く同じことを、中国側は韓国にも言っている。つまり自分の違法性を棚上げにして、相手側の対応を非難するというやり方だ。こうしたやり方に対して、日本は当初あいまいな態度をとったために中国側に付け入る余地を与えた。韓国は韓国で、中国との外交関係をこじらせないようにとの配慮から、ともかくは遺憾の意を表して見せた。

それにしても中国の主張は、国際法の常識からして、まったくナンセンスなものだ。そのナンセンスを知っていながら、性懲りもなく同じようなことを言い続けるのは、現代の国際社会を律している法的な枠組みを、中国が尊重していないことを意味しているのではないか。他国の領土を自分のものだといってみたり、国際法上の経済水域の考え方を全く無視して、自分の利益のみを主張する、こうしたやり方は無法者の振舞だといってよい。

ここで念のために、今回の事件の概要をおさらいしておこう。上の図(産経新聞提供)は、18日に中国の漁船が韓国の監視船と衝突事故を起こした場所を示している。一見して明らかなとおり、衝突現場は韓国の排他的経済水域内にある。

この近辺では最近、中国漁船による違法操業が盛んになり、韓国側は目を光らせていた。そこへ18日、中国の漁船50隻ばかりが船団を組んで違法操業をした。それを発見した韓国の監視船が取締りを開始し、一隻の船に乗り移ろうとしたところ、鉄パイプで殴られるなどの激しい抵抗を受けた。その様子を写した韓国側のビデオ映像がテレビで放映され、その無法ぶりが世界中の人々に明らかになったとおりだ。

漁船はあまつさえ、韓国監視船に衝突してきた。尖閣の場合と同じパターンである。だが漁船は運悪く転覆、乗組員のうち一人が死亡、一人が行方不明になった、残りの5人は中国船に救助されたが、三名は韓国側が拿捕した。

こうした事態に対して中国政府は、中国漁船は中国当局によって操業許可を受けており、合法的な操業を行っていた。それに対して攻撃を加え、船員を死に至らしめたばかりか、逮捕拘留したことは違法である、ただちに逮捕者を釈放するとともに、中国船員が蒙った被害に対して保障せよ、こういいだしたわけである。

こうした理屈が屁理屈にすぎないことはあきらだ。とても国際社会が受け入れられる理屈ではない。ところが韓国政府は、表立って批判することをためらっている、それは今現在北朝鮮との間に高まっている緊張を踏まえてのことと思われるが、正義を主張すべき時には、どんなタイミングであっても、それを主張する気概が必要というものだ。





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作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2011
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