中国を語る
HOMEブログ本館東京を描く漢詩と中国文化陶淵明日本文化ロシア情勢|プロフィールBBS




米・キューバ国交回復の背景


米とキューバが54年ぶりに国交回復するようだ。キューバ危機以来、米はキューバをテロ国家に指定し、封じ込めを図ってきたわけだが、ここにきて俄に国交回復の動きが出て来たことに背景には、日本のメディアからはほとんど伝わってこないが、中国の影があるようだ。

中国はキューバに対して、同じ社会主義国という建前から、かねてから友好のシグナルを送ってきたが、最近になってその接近ぶりに質的変化が現れたと指摘されている。その象徴となる出来事は、中国がミサイル搭載の艦船をキューバに常駐させようとする動きで、これがもし実現すれば、アメリカとしては面白ないでは済まない事態だ。なにしろキューバは、アメリカの庭先にある。キューバ危機がアメリカ中を大騒ぎさせたのも、キューバのそういう地政学的な位置づけによる。

中国は、アフリカ諸国でも、存在感を高めている。その存在感は、軍事的プレゼンスの面でも高まっている。先日はジブチに恒久的な軍事基地を作るとアナウンスしたばかりだ。今後、ジブチに限らず、西アフリカ方面にまで、軍事協力の手を伸ばそうとするのは、十分ありうることだ。

中国のこういう動きは、アメリカとの間で軍事的なバランスを保ちたいという欲望の現れだと思われる。現状では、沖縄やフィリピンに米軍基地が展開し、中国にとっては、のどもとに匕首を突きつけられているような状態にある。つまり、軍事バランスという面では、米と中国とは非対称的な関係にある。中国としては、その非対称性を解消して、米との間で対象的な軍事バランスを確立したい、そう考えてもおかしくはない。

キューバからでも、西アフリカからでも、アメリカを一撃するには十分な距離だ。アメリカとしては、このままキューバを放置して中国に取り込まれては、安全保障上由々しき事態になる恐れが強い。そこで、いまのうちにキューバを抱き込もうとして、国交回復の動きに踏み込んだ、というのが真相らしい。





HOME次へ









作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2011-2015
このサイトは、作者のブログ「壺齋閑話」の一部を編集したものである