中国を語る
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習近平の覇権主義的発想:アジア安保


上海で開かれたCICA(アジア信頼醸成措置会議)の首脳会議で、習近平が開催国を代表して基調演説を行い、その中で「アジアの安全は結局、アジアの人々が守らなければならない」と述べ、中国がアジアの安全を主導する意欲を示した。また、「第三国に向けた軍事同盟の強化は、地域の安全のためにならない」と述べ、日本やフィリピンとの同盟強化をはかるアメリカをけん制した。

これまで、国際関係についてはどちらかといえば消極的な対応をとってきた中国が、今後積極的な姿勢をとることを宣言したととれるこの発言は、習近平の覇権主義的な姿勢を、国際社会に向けて発信したものといえる。彼はこれまで、国内向けには「偉大な中国」の復活を訴えていたわけだが、それを国際社会向けにも発信したと受け取れる。

このCICAというのは、ヨーロッパにおけるOSCE(ヨーロッパ安保協力機構)に対応するもので、地域の国々が、政治体制や宗教を超えて安全保障を話し合う会議体だ。アジア全域から26か国が参加しているが、日本はアメリカやインドネシアとともに、オブザーバーとして参加しており、フィリピンは参加していない。

会議体をリードしているのは、中国とロシアだ。この両国は、最近様々な領域で結びつきを強めており、この会議の期間中には、習近平とプーチンが直接会談をして、ロシアから中国へのガス輸出契約を成立させた。ウクライナ問題で、欧米諸国から孤立しつつあるロシアにとっては、それにかわるパートナーの地位を中国に求めたいという気持が強いことのあらわれだ。

今後中国は、ロシアやアラブ諸国そしてエジプトなどとの関係を深めながら、地域大国としての地位を高め、価値観の異なるアメリカとは、対決姿勢を強めていこうとする可能性がある。すくなくとも、アジアの問題については、アメリカのいいなりにならないという姿勢を強めるだろう。

こうした習近平政権の覇権主義的姿勢に対して、日本はどう向き合っていくのか。日本政府の今後の外交能力が試されるところだ。





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