中国を語る
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習近平の冷戦思考


習近平が国家主席就任後に最初に選んだ外遊先はロシア。プーチン大統領との友好的な関係を内外にアピールしたが、それは日米を強く意識したものだとの見方が有力だ。アメリカに対してはミサイル防衛システムを強く牽制するとともに、日本に対しては尖閣諸島が中国にとっての核心的な利益だと匂わせるような発言を行った。

とくに日本について習近平は、「第二次世界大戦の結果と戦後の国際秩序を守らねばならない」と述べ、日本に対して歴史認識での譲歩を迫ったが、そこには、尖閣諸島も歴史問題の一つだとする立場が含まれている。もっとも、この点については、プーチンは積極的には答えなかったし、共同声明にも盛り込まれなかった。プーチンとしては、日本との間の領土問題に最終的な決着をつけたいという思いがあり、今の時点で、領土問題をめぐり日本と波風を立てたくないとの思惑があったものと思われる。

経済問題では、エネルギーが両国共通の関心事となったようだ。中国としてはロシアからの安定的なエネルギー供給を期待し、ロシアはロシアで、ヨーロッパで減少したエネルギーの需要を中国によって穴埋めして欲しいとの思惑がある。両国の利害は基本的には一致している。問題は価格だけだといわれる。

このように、中露両国は安全保障や経済協力をめぐって絆を強めようとする姿勢を強力にアピールした。それがアメリカの大平洋への進出を強く意識したものであることは間違いないと思われる。それは特に習近平の姿勢のうちに強く感じさせるものがある。中露が手を組んでアメリカの圧力に対抗しようとするこうした戦略は、新手の冷戦思考と言うほかはない。(写真はAFPから)





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