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香港行政長官の辞任求め大規模デモ


この正月、香港では、香港政府のトップで親中派の梁振英(Leung Chun-ying)行政長官の辞職と民主主義の拡大を求める大規模な抗議デモが行われた。デモの発端となったのは、梁振英氏が建築法規に違反して自宅を増築したことが発覚したことだった。半年前に行われた長官選出選挙の際には、自分自身が対立候補の違法建築の事実を厳しく批判していただけに、その無節操ぶりが香港市民の怒りを買った形だ。

もっとも、梁振英氏に対する市民の怒りには、別の、しかももっと根の深い理由もある。最大の理由は氏が大陸の方ばかりを向き、香港市民の利益より共産党のバックアップを期待していると受け取られていることだ。

行政長官は選挙で選ばれるといっても、市民による直接選挙によってではない。一部の政治エリートたちによる選挙だ。それでは民意を正しく反映したことにはならないとして、香港市民は行政長官の市民による直接選挙を含む民主主義の拡大を求めているという側面もある。

香港には澳門同様、一国二制度が適用され、大陸とは異なった政治制度も、理屈の上では可能と言うことになっている。しかし香港市民自身がその権利を行使しないでは、香港に民主主義的な政治システムが根付くことはない。というより、たえず大陸からの圧力にさらされ、事実上の共産党支配が貫徹されないとも限らない。

香港市民は、梁振英氏の姿勢に、大陸への従属の危険を感じているのだと思う。(写真はAFPから)





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