中国を語る
HOMEブログ本館東京を描く漢詩と中国文化陶淵明日本文化ロシア情勢|プロフィールBBS


ウィグル人と漢族との衝突

先日、湖南省の岳陽市で、ウィグル人と漢族との間でトラブルが生じ、それがもとでチョットした衝突が起こり、漢族の男一人が逮捕されたほか、16人のウィグル人が新疆ウィグル地区に追い返されるという事件が起こった。この事件は早速ネット上に知れ渡り、ミニブログでは様々な意見が交わされている。その意見の大部分は、ウィグル人など少数民族に対する漢族の根強い差別意識を反映したものだ。

事の発端は、ウィグル人の行商人たちの商売のやり方にあったようだ。このケースの場合、ウィグル人は大きなケーキを客の注文に従って切り分けて売っていたが、客が思っていたよりは大き目にケーキを切り分けた。そんなに沢山はいらないと客が抗議すると、一旦切ったものは買ってもらわねばすまぬ、と切り分けたものをそのまま買うように強要した。そのことがもとで、行商人と客とが喧嘩になり、それが周りの人々を巻き込んで一騒ぎに発展したということらしい。

当局は、騒ぎを起こしたウィグル人たちを追放するに際して、彼らが蒙った損害を補償したのだったが、その内容がどう誤解されたか、ウィグル人たちはお菓子の補償金で高級カーが買えるほどの金を手にしたなどと言う噂がネット上で広まった。実際にはそんなことはなかったのだが、そういう噂が広がる事態には、それなりの背景がある。

というのも、中国政府は少数民族にたいして様々な点で手厚い保護政策をとっており、それが漢族の人々の目にはいわゆる逆差別としてうつるようなのだ。

今回も、この逆差別の感情があるせいで、騒ぎを引き起こしたウィグル人にはたいしたお咎めもなく、多額の保証金を貰ったのはけしからぬ、というような声がネット上に満ち溢れる結果となったのだろうと思われるのだ。

なお、中国には55の少数民族がおり、全人口の8パーセントを占めている。

(参考)Don't Let Them Eat Cake: How Ethnic Tensions in China Explode on the Streets By Austin Ramzy TIME





HOME|次へ









作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2011-2013
このサイトは、作者のブログ「壺齋閑話」の一部を編集したものである