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相次ぐチベット人の焼身自殺


チベット人の焼身自殺が増加し始めたのは2011年の3月以降のことだが、それ以来これまでに60人以上が焼身自殺をしたという。先週(10月20日から25日まで)には、甘粛省の甘南県にあるチベットの聖地などで、一週間で7人もの人々が自分の体を火で包み、そのうち6人が死亡したということだ。

当初は自殺者の大部分がラマ教の僧侶などだったが、最近では一般人による焼身自殺が増えている。彼らは、自分の体に火をつけながら、ダライラマの帰還とチベットの自立を叫ぶのだという。

最近焼身自殺が目立って増えたことの背景には、共産党指導部の10年に一度の交代があると観測されている。指導部が新しくなるのに合わせて、チベットの自主性尊重政策を訴えようというわけだろう。

だが、共産党の指導部が替っても、少数民族対策が変化する可能性は低いとみられている。それどころか、共産党はチベット、新疆、内モンゴルといった少数民族の暮らす地域に漢族を大量に送り込み、少数民族を漢民族が呑み込もうとする政策を取り続けている。それが少数民族の反感を一層駆り立て、2008年以降、チベット、新疆、内モンゴル地域で波状的に暴動を発生させてきた。

チベットにおける焼身自殺については、厳しい検閲によって報道が抑制されている一方、共産党によって地元のチベット人の生活が向上したというようなキャンペーンを張っている。習近平の妻で芸能人の彭麗媛もそうしたキャンペーンの先頭にたっているそうである。

共産党指導部は、チベット人の焼身自殺を、ダライラマがそそのかしていると激しく非難している。しかし、インド・ヒマラヤ山麓のダラムサーラに拠点を置くダライラマらの亡命政権は、焼身自殺などの過激な抗議をやめるようにチベット人に呼びかけているとして、共産党指導部がチベット人の自主性をもっと重んじる政策をとるように主張している。(写真は自殺者の死を悼むチベットの人々:AFPから)

(参考)As China Readies for Transition, 7 Tibetan Self-Immolations in 7 Days By Hannah Beech TIME





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