中国を語る
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中国共産党結党90周年


今日(7月1日)は中国共産党が結成されてから90周年の節目の日だ。共産党政権は、この記念すべき日を大々的に祝った。90周年記念映画「建党偉業」を全国規模で上映し、すべての共産党員に観覧を義務付けたほか、記念出版、展示会、テレビショー、新聞社説など、あらゆる宣伝媒体を動員して、中国共産党の偉業を誇示した。

国営新華社通信は「中国共産党だけが中国を救えることを歴史が証明した」との社説を発表し、すべての国営メディアがこれを引用した。これに呼応するかのように、中国史に関する歴史認識のあり方は、中国共産党の万能振りをたたえたもの一色になった。これに伴って、一時期威信が落ちていた毛沢東が復活し、中国人民の偉大な指導者に再び祭り上げられようとしている。

その反面、毛沢東率いる中国共産党の犯した誤りは、歴史の影に隠されるようになった。数百万人を餓死に追いやった1958〜61年の大躍進政策や、66〜76年の文化大革命については、これを正面から取り上げて批判するような作業はタブーになりつつある。

共産党の偉業を誇示する一方、共産党に対する批判勢力は仮借なく弾圧する、これが最近の共産党政権のやり方だ。とりわけ、今年に入って人権弾圧は激しさを増している。中東のジャスミン革命に象徴される民衆の民主化への要求が、中国にも波及することを恐れてのことだ。

90年前に上海の新天地の一角で中国共産党が結成されたとき、党員はわずか50人だった。彼らははげしい政治弾圧と国共内戦を戦い抜いて、1949年に権力を握って以来、中国の方向性を決定してきた。ケ小平が権力を行使するようになってからは、改革開放の名の下に、国の近代化に力を入れてきた。その結果中国が世界第二の経済大国になったのは、奇しくも共産党90周年の今年のことだ。

共産党はいまや、8000万人の党員を要している。共産党は憲法上権力の唯一の基礎であるから、彼らはそれを最大限に利用して、権力から利益を引き出している。かつてのロシアで作り上げられた利権共同体ノーメンクラトゥーラの中国版とも言うべきものが、形成されつつあるのだといえる。

中国社会ではいま、格差の拡大が最大の問題になっている。国の発展の恩恵が人民に公平にいきわたらず、一部の政治エリートがそれを独占している光景は、一般人民の目には不公平が横行する許しがたい事態として映っている。その怨念が爆発して、最近は中国各地で反権力の暴動を引き起こしているのだ。

中国人民はこれまでの歴史上、繰り返し権力を転覆させてきた実力を持っている。彼らは権力が腐敗したときに、それを転覆させて新しい権力を迎える知恵を持っているのだ。中国語で「革命」というのは、有害になった権力をもっとましな権力にとりかえることを意味している。

そうしたニュアンスでの革命が、遠からず中国で起こるであろうことは、歴史の必然といえよう。(写真は若き毛沢東像の前でポーズする女性:AP)





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作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2011
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