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ノーベル平和賞授賞式は政治的茶番劇か?驕れる中国


世界人権デーの12月10日、オスロの市庁舎でノーベル平和賞の授賞式が行われた。だが会場には、主人公ともいうべき今年の受賞者劉暁波氏の姿はない、代って彼の巨大な写真が壁に飾られ、席には証書とメダルが置かれた。(上の写真:ロイター提供)

劉暁波氏は国家への反逆の罪により監獄の中に閉じ込められたままだ。妻の劉霞さんも、中国政府によって事実上の軟禁状態に置かれ、夫にかわって出席することもできなかった。主人公不在の授賞式は、1936年、ナチスによって投獄されていたドイツの平和運動家オシェツキー以来、74年ぶりのことだ。

授賞式の会場では、ノルウェーの女優リブ・ウルマンさんが、劉暁波氏の書いた文章を代読して、受賞へのあいさつとした。その文章には、中国が基本的人権を尊重し、「国民誰もが平等に扱われ、恐れることなく政治的な意見を表明できる国になる日を望む」という言葉があった。

この授賞式に対して中国政府は、中国の内政に干渉するものだとして反発している。ノルウェー政府との外交日程を一方的にキャンセルしたり、ノルウェーに駐在する各国の大使館に、この式典に出席しないよう圧力をかけたことなどは、先日の尖閣諸島をめぐる日本との対立劇を再演してみせたようなものだった。

一方国内向けには、この授賞式の模様を報道しようとするあらゆるメディアの動きをシャットアウトし、国民に知られないようにしている。

また、ノーベル平和賞の向うをはって、孔子平和賞なるものを創設し、その第一号受賞者に台湾の連戦氏を選出したりした。連戦氏が中国本土よりの言動をとっていることを評価したのだろう。だがその授賞式にはなぜか、当人の連戦氏は出席しなかった。

中国当局は、ノーベル平和賞の授賞式を政治的な茶番劇などと称して貶める発言をしているが、俄にでっちあげた孔子平和賞はなんといえばいいのか、筆者などには、猿芝居としかいいようがないような気がする。

ところで多くの国がノーベル平和賞の授賞式に代表を参列させたなかで、ロシア、キューバ、イラン、ベトナムなど20か国ほどが、中国の呼びかけに応えて欠席した。その顔ぶれをみれば、いづれも人権とは一線を画す国ばかりだ。ベトナムなどはそれに加えて、中国の暴力的な仕返しを恐れたのかもしれない。





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作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2011
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