中国を語る
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中国が日本人に執行猶予付き死刑判決

「中国遼寧省大連の中級人民法院(地裁に相当)が5月上旬、麻薬密輸罪に問われた70歳代の日本人の男に対し、死刑判決(執行猶予2年)を言い渡していたことが30日、わかった。(読売新聞)」という記事を読んでいささか考えさせられた。

まず死刑に執行猶予がついていることだ。日本では3年を超える懲役や死刑判決に執行猶予がつくことはない。しかも刑期よりも執行猶予の期間のほうが長いのが普通だ。それがわずか2年間の執行猶予がついた死刑判決など、日本人の法意識ではちょっと考えるのがむつかしい。

次に犯罪の内容が麻薬密輸という点だ。日本では麻薬の密輸だけで死刑が課されることはない。それがいいか悪いかは別として、国によって刑の重みがあまりに違うことに驚かされる。

世界の刑法の主流は、いまや死刑廃止に傾きつつある。日本は先進国としては死刑判決が相対的に多い国だとされているが、その日本でも、死刑を課すためには、何重ものハードルがある。殺人犯人でさえ、有期刑ですんでいるケースが結構ある。であるから殺人以外のケースで死刑判決がでることはまずない。

ところが中国では、麻薬の密輸といった経済犯でも死刑になるケースが結構ある。日本のように執行猶予がついていなければ、経済班といえども反社会的な分子には、即この世から退場を願うというわけだ。

それではちょっと行き過ぎだと思うから、死刑にも執行猶予をつけているのか。どうもそんな勘繰りをしたくもなる。

(なお中国では執行猶予期間中に思想改造等が施され、その成果によっては減刑される場合もあるというから、日本の執行猶予とはちょっと意味合いが違うようだ





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