中国を語る
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放射能におびえる中国人たち:福島原発事故


上の写真(ロイター提供)は、スーパーマーケットの売り場に殺到する中国甘粛省蘭州の市民たち。彼らが争って買い求めようとしているのは、ヨード入り食塩だ。

中国市民の間では、福島の原発事故が深刻に受け取られており、放射能を含んだ雲が日本から飛んできて、大勢の命が危険にさらされるというデマがとびかっているようだ。そこで甘粛省のような、日本から遠く離れた中国内陸部でも、こんな騒ぎがおきているということなのだろう。

この事実を紹介したのはアメリカのロサンゼルス・タイムズだが、それを孫引きで紹介しているニューズウィークの記者などは、中国はこんな可能性の低い事態で大騒ぎするひまがあるなら、大気汚染や水質汚濁といった環境問題にもっと真剣に取り組むべきだと皮肉っている。そうした公害の結果、毎年76万人もの命が奪われている実態があるからだ。

もっともアメリカ人も、中国人を皮肉ってばかりはいられないはずだ。CNNのニュースキャスターは、太平洋上のジェットストリームの動きを詳しく分析し、日本発の放射能雲がアメリカに飛来する確率を予測しているし、3月16日には西海岸を中心にヨウ素の錠剤が買い占められるなど、過剰な反応がみられたからだ。

そうはいっても、放射能はやはり恐ろしい。1986年にウクライナで発生したチェルノーブィリ原発事故では、3000人が事故当日に即死したほか、数万人もの人々がガンにかかって死んだとする報告(wikipedia)もある。

それ故、人々が神経過敏になるのも、ある意味で無理はない。一刻も早く事故を収束させ、人々に安心感を抱いてもらうことが肝要だ。





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