中国を語る
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菅さん、もっと毅然とせにゃいかん


APECの首脳会議が横浜で催された機会をとらえ、菅総理がアメリカのオバマ大統領、中国の胡錦濤国家主席、ロシアのメドベージェフ大統領と、それぞれ会談した。中国およびロシアとは、重大な外交問題を抱えての首脳会談となった。その結果について、概要が新聞紙上等に発表されているが、それを読んで、釈然とした日本人は少ないのではないか。

胡錦濤国家主席との会談は、中国側の発表によれば、日本政府に乞われた形で応じたような書き方になっているし、形式的にも正式な会談ではなく、半分懇談のようなものだとの言い方をしている。また会談の中では、菅総理は尖閣諸島に領土問題はないとの、日本側の従来の主張を繰りかえしたと、日本側が発表したのに対して、中国側には、この問題に関する言及は一切ない。

メドベージェフ大統領との会談は、相互の主張に大きな溝があり、議論が平行線に終わったとの報道がなされている。北方領土が日本固有の領土であって、それをソ連時代のロシアが不法占拠したことについては、誰も反駁できない歴史的経緯だ。ソ連・ロシア側の歴代政府もこの経緯を踏まえて、いづれ北方領土を日本に返還すべきことを了解してきたはずだ。両国間にいまだに平和条約が締結されていないのも、北方領土の問題が解決されていないからだ。

それなのに、ロシア側は今回初めて、北方領土がロシアの領土の一部であり、それをロシアの大統領として訪問するのは当たり前のことだと開き直った。今回の会談はその開き直りを、当事者である日本はもとより、世界に向かって宣言したようなものだ。

劇的な豹変ぶりともいうべきロシア側の態度に、日本はいったい、どのように応じるべきなのか。

今回中国、ロシアとの間で、二国間の会談を設定させるについては、菅総理側の思い入れの強さばかりが、国民の多くにとって、印象的に映ったのではないか。それなのに、やっと会談に応じた相手側から、袖にされるような、つれない仕打ちを受けたかたちだ。

菅総理にはもっと毅然としてもらいたい、これが多くの国民の偽らざる気持ちだろう。これでは何のための首脳会談だったのか、わからない。国民へのジェスチャーあるいはアリバイ作りくらいに考えていたとしたら、菅総理は国民を見くびっていることになる。(写真は握手する菅胡両氏:AFP提供)





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